カフェは、まちと人をつなげるツール
ある時から、カフェと街をつなげるような本に興味を持つようになった。
もともと自分がカフェに対して抱いていたイメージは、コーヒーの専門書を読むよりも、こういう本を読んでいる方がしっくりくる。コーヒーの勉強はもちろん大事だが、カフェには物質以上の価値がある。
カフェとは、なんだろう?
コーヒーを出すところ?のんびりするところ?一息つくところ?おしゃれなところ?カフェとはいったいなんだろう。カフェの魅力ってどんなところだろう。カフェには、なにか不思議な力があるに違いない。
私は、その秘密を今日も探している。
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もう、8年も前になる。カフェに携わる仕事がしたいと考えた私は、カフェの専門学校に通い始めた。ただし、社会人向けのスクールだったため、週に一回。そして半年。大まかに開業に向けての流れを教えてくれる学校だった。
そこで好きだったのが、実際に店舗オーナーやイタリアンバールの第一線で活躍しているバリスタの先生の話を聞く授業だった。
イタリアで修行してきた先生は、こう言っていた。
「イタリアでは、カフェはお店やさんという認識ではなく、目的もなくコミュニケーションをしに行く所。言わば、そこで暮らす人の生活の一部。決して特別なところではない。なんだか知らないが人が集まって、他愛もない会話をして、新しい出会いや新しいアイディアがポン!と浮かぶような場所。カフェはお店であるのと同時に、その街の日常の一部なんだ。」
そして、「バリスタとはコーヒーを淹れる人」ではなく「その街の日常をつくる人」である、と。
例えば、道を聞かれた時、美味しいお店を聞かれた時、目の前で困っている人がいた時、そういう時こそバリスタの出番なんだ、と。
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この話に、私は大きな影響を受けた。
そして、その話を聞いてから《バリスタ》というものにさらに興味を持つようになった。
お店と人、街と人、道路とお店。そういうところに隔たりがなく、フラットな存在でいたい。《お客さん》と《お客さんじゃない人》という境目すら、いらない。
その気持ちが、現在の移動カフェというスタイルに直結している。
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つまり、カフェは人とまちをつなげる最強のツールなのだ。
特別な日に行きたい、おしゃれなカフェがあってもいい。だけど、いつもそこに存在している、いつものカフェがあってもいい。
コーヒーの前では上下も仲間も敵もなく、みんなおんなじ、人だ。
個人店ではあるし、継続するために利益も出していくべきだが、立ち位置としては《パブリックスペース》公共に近いイメージ。
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無理にコミュニケーションを取る必要もないし、ひとりでゆっくりするのもいい。考え事をしたいときもあるし、本を持ち込んだって良い。
そこに居合わせた人と話が弾めばそれもいい。今日は良いことがあったから誰かに話したい。そう思ったときもカフェの出番。集まってくる知り合いに挨拶がてら、コーヒーを片手に電車を待ったっていい。
カフェは自由だ。ただし、自由であるのと引き換えに、各々のモラルが大切な場所。
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カフェの楽しさは、こういうところにある。
美味しいコーヒーが、そこに向かう目的でもいい。
でも、美味しいコーヒーが、そこに向かう口実でもいいはずだ。
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今日も、曇り空をみながら、カフェの可能性を模索する。
最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。豊田市駅の移動カフェcafebusnonの希でした。
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コメント9件
毎日行けないけど、のんちゃんのカフェ飲むことが、僕の日常生活の一部になっています╰(*´︶`*)╯♡
のんちゃん、こんばんは~。
ようやく貴女のスタイルが理解できてきましたよぉ~
私にとっては、いつもの時間、ということはできないけれど、いつもの場所には違いないです。
私も一通り追っかけしてきましたが、その場、その場で新しい人との会話が楽しめます。どうやら常連の皆さん達は、貴女の魔法にすっかりと心地よく掛かっているようです。”ゆっくり、急げ”解りやすい良い本ですねぇ(((o(*゚▽゚*)o)))♡
はじめまして^ ^
結構前から、ブログ読ませて頂いてます。
いつも元気になったり、背中を押してもらえるような記事をありがとうございます。
私も珈琲が大好きで、将来カフェを開きたいと思ってます。今回の記事を読ませて頂いて、まさに私がそう在りたい未来の姿であり、すごく共感しました。(いきなりすみません)
そして、私も去年週一回の食の社会人スクールに通ってバリスタコースを卒業したのですが、もしかして同じ先生かな?と思いました。先生のプロとしての姿勢や人柄にとても学びが多く今でもずっと尊敬してます^ ^
のんちゃん、こんにちは。
イタリア帰りの先生の話しに納得しました。
イタリアでカフェと聞くとお洒落で優雅なお店を想像するけど、街のというか日常生活の一部になってるんだね。
僕がNONに通い始めた最初の頃、この豊田市に路地裏に溶け込んでて街の一部になってる感じと話したことを思い出しました。
つまり、NONは豊田市と人を繋ぐ最強のツールになっていること。
そのお陰で、沢山の友達が出来ました。
一杯の珈琲がこの街の、一人ひとりの何かのきっかけになれたら幸せだね。