ハトのおじちゃんと、おこりんぼさん
駅前に、3年半。車の中から、ひたすら座って外を眺めている。
そうすると、いろんな人がいることに気付く。
その1人が、ハトのおじちゃん。
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ハトのおじちゃんは、いつもハトにエサをあげている。自分のお金でピーナツを買って、いつも持っている。ハトが近くに来ると、優しく撒く。
(一応、ハトにエサをあげるのは、糞害や繁栄しすぎで生態系を壊す危険があるため、「良い」とはされていない)
ハトは、おじちゃんのことをよく知っている。その人が来ると、一斉にその人の近くに飛んでいく。
「ハトにエサをあげないで下さい!」そう怒られながらも、こっそりあげている。
ある日、ハトにエサをあげる理由を聞いてみた。そしたら「人間が自然を壊してしまって、エサがなくて可哀想だから、ハトにエサをあげている。」と言っていた。
おじちゃんの行為は、「良い」「悪い」で言うと「良い」ではないのかもしれないけど、そこはひとまず置いておく。
そして《なぜ、この人はハトにエサをあげるようになったのか》を考えてみる。
きっと、なにか理由があるはず。
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もう一人、印象に残っているのが、いつも怒っているおこりんぼさん。
おこりんぼさんは、9割9分、怒っている。
そして、行政や民間企業、通行人に向けて怒りのメッセ−ジを放っている。
それはそれは、すごいパワーである。
おこりんぼさんは、「怒り」を見つけるがとても上手。
普通は、「なにか怒れちゃうような出来事があって、怒る」というのが一般的のように思えるが、「いつも怒りを探している」と言ったほうが近いような気もする。
こういった人は、クレーマーと呼ばれることもある。
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この2人。
表現しかたは違うけど、根本は同じなのかもしれないな、、、観察しながらそんなことを考えていた。
きっと、寂しさや「何か」を関わっていたいという気持ち、が根本にあると思う。それを表現するのが苦手で、自分に出来る精一杯の方法で社会とつながろうとしている。
そう思うと、ハトのおじちゃんも、おこりんぼさんも、そんなに悪い人じゃない。
俗に言うクレーマーさんは、多くのものを受け取ろうとしてお店に苦情を言う人もいる。でも、自分に得がないのに、怒りを爆発させている人もいる。
たいてい、普通のお店などからは出入り禁止扱いになってしまうため、その矛先は公共の場所へ向かう。
「クレーム」という目的があれば、一応公務員は耳を傾けなければいけないことになっているから、話をきいてもらえるからだ。
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些細な事だったとしても「話すこと」「聞いてもらうこと」は、人の心に余裕を与えるのではないかと思う。
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私は横浜にいる時、仕事もプライベートもぐちゃぐちゃになってしまって、身体に異変を感じたことがある。おそらく、自分の許容範囲以上のストレスを感じ続けると、自分では(大丈夫)と思っても、身体に変化があらわれる。
私の場合は、頭が毎日重くて脳が萎縮しているような感じがした。本気で脳に異常があるんじゃないかと思って、脳外科に行ってみた。でも全くの異常なし。
他には、毎日眠気がとまらなく、続けて15分運転することが出来なくなった。信号でも寝てしまいそうになるため、眠眠打破とレッドブルを通勤だけで何本も飲用。10分進んでは仮眠を繰り返す始末。(もちろん夜は寝ている)
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そんなとき、とにかく《自分と無関係な人》に自分の状況を判断してほしくて、カウンセリングに行ってみた。
そして、自分の今の状況やストレスに感じていることをすべて話した。
聞いてもらったらすごくスッキリして、自分の中の整理が出来て、そこから抜け出すためのキッカケを作ることが出来た。
一度しか会わなかったけど、その時聞いてくれたカウンセラーさんにはとても感謝している。
精神科にも行ってみたら、《うつ》まではいかないにしても《うつ状態》であるという診断結果だった。
今は考えられないけど、この《うつ状態》のときは「どうやってこの世界から消えようか」「どうしたら親を悲しませずに死ねるか」を毎日考えていた。(周りに迷惑をかけずに、と考える辺りがまだ正常な部分が残っていたと言える)
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その後、思い切ってすべての環境をリセットした。すると体調も戻り、びっくりするほど何でも前向きに考えられるようになった。
この時、ここまで追い込まれる前に「誰かに話すこと」をしたら良かったのかもしれない。今になればそう思う。
「聞いてもらうこと」で、きっと救われる人はたくさんいる。
日常的な些細な会話でも、ちょっとした悩みでも、ただの挨拶だったとしても。《誰かとつながっていること》で感じられる安心感は計り知れない。
cafebusnonでも、そんなことを念頭に置いて営業をしていた。
この先は、また別の形でそれを実践していきたいと思っている。そのための自分会議がまだまだ必要ではあるけれど。
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SNSの普及からも分かる通り、人は誰かと関わっていきたいという本能を持っているのではないかと思う。
大切なことに気付けた。自分自身に起きた出来事は、どんなことであれ財産だと思う。
この時のことがあったからこそ、今の私がいる。この一件に、今は感謝しか無い。
ハトおじちゃんと、おこりんぼさんには、そんなことを思い出させてもらった。
今度あったら「ありがとう」を伝えてみよう。
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最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。豊田市駅の移動カフェcafebusnonの希でした。
横浜での経験は、その後の原点なんですね。
今度私たちの前にノンちゃんが現れるときは、
自叙伝的なエッセーの文庫本になっているのではないか、
と思います。
2,3年以上先かな??(^ ^)V