コスパの追求はコスパが悪い?

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コストパフォーマンス、通称コスパ

コスパという言葉がどうにも苦手だ。

例えば、飲食店であれば「金額の割に、美味しい」とか「金額の割に、いい食材をつかっている」とか、そういうことになるのだと思うのだけれど。そこには【同じ金額を払うなら、出来る限り多くを受け取りたい】という意味が潜んでいる。

もちろん【与えたい】よりも【受け取りたい】と思う感情は、ごく自然なものだ。

【損をしたくない】という感情は、誰しもが持っていて当たり前のものだ。

けれど、それを声を大にして言うのは本人の品格を下げているような気がしてならない。ある意味【コスパが悪い】のではないだろうか。

お店の視点から見た場合【コスパを求めてくるお客さん】が多くなるほど、精神的に疲弊してくるような気がする。なぜならば【もっといいものを!もっと安く!】という要求には、際限がないからだ。もちろん、経営努力や技術でどうにかなるかもしれない。でも、きっと、どこかにそのしわ寄せが来ている。

「もっといいものを与えてくれないのであれば、他のお店へ行こう」というお客さんばかりのお店の店員さんの顔は、輝いているのだろうか。

得をするお客さん

移動カフェをしている時に、なぜだか毎回、得をしてしまうお客さんがいた。その人は【より多くを得たい】とは考えておらず、いつも店のことや私のことを気にかけてくれる人だった。混んでいたら、他のお客さんに順番を譲ってくれた。初めてきたお客さんには積極的に話しかけて場をなごませてくれた。カフェラテを飲んで、とびっきりの笑顔で「美味しい~!幸せ~!」と言ってくれるような人だ。

私は、その人が大好きだったから、ついつい他の人からの差し入れがあると、こっそりと彼女におすそ分けしていた。「今日たまたま貰ったから、よかったら食べます?」と。すると毎回「なんてラッキーな日なんだろう!!!幸せ!!」と目を輝かせて言ってくれるのだ。それが可愛くて、私まで幸せな気持ちになっていた。

その人は、他のお客さんともあっという間に仲良くなり、直々にケーキを買ってきてもらったり、コーヒーを奢ってもらったりしていた。

そして、またとびっきりの笑顔で「私って、本当についてるんですよー!」と言っていた。

それを聞いていた私は【幸運って、自分でつくれるものなんだなあ】ということを、その時の彼女に教えられた。【ツイている人】というのは、ツキを自分で運んでいるのだ。それは「ツイてる、ツイてる…」と唱えることではない。運は、完全に偶然のものと、人為的なものがある。表面的には偶然に見えても、誰かの小さな小さな意思が加わっていることは結構ある。私がつい渡したくなってしまった差し入れがいい例だ。

「いい物件が見つかった」「いい仕事が舞い込んできた」「いい縁に恵まれている」というのは、ただの偶然ではないことが多い。(この人になら…)と、誰かの意図が絡んでいたりするのだ。

誰かの意思の加わった人為的な幸運が世の中の大部分ではないか?というのは、移動カフェという仕事をして学んだことだ。

そのツイている彼女は【自分の持っている能力を与える】を繰り返し、結果的に※人生のコストパフォーマンス※を上げている。そんな気がする。

そんな人を見ていただけに、【受け取りたい】というコスパ追求を繰り返したら、逆に※人生的にはコスパが悪い※ということになりえるのではないか、と思うようになった。

コスパを追求するということは【より、多くを受け取りたい】ということをいつも考えるということだ。【受け取りたい、損したくない】というベースを日々育てているということだ。

結婚はコスパが悪い?

あるコラムで読んだのだけれど、若者の結婚しない理由の一つとして【結婚はコスパが悪い】ということがあるらしい。うわお、ついに日本ここまで来ちゃたか!と、びっくりしてしまった。

確かに、結婚したり子どもを生んだらお金がかかるし、自由も減る。そして義務は増える。それは【できるだけ、損をしたくない】という気持ちからくるものかもしれない。でも、それ以上に受け取るものもいっぱいある、ということも知っておいたほうがいい。

そもそも、家族に対して「君は、コスパが悪い。」なんていう人はいないだろう。なぜなら、人は自分の愛するものに対してはコストパフォーマンスを求めないから。人は、自分の愛するものに対しては【受け取りたい】よりも【与えたい】が先行するからだ。

そしてそれは、お店に対しても当てはまる。本当に大好きなお店であれば、コスパが良かろうと悪かろうと、通いたい。【コスパがいいから好きなお店】と【コスパが悪くても好きなお店】は大きく違う。コスパが悪くても好きなお店であれば、コスパ以外の魅力がきっとあって、実はその部分がけっこう大切だったりするのだ。

そして、本当にお店の存続を願うお客であれば、そのお店に対してコスパは追求しないはずだ。きっと。

お店であれ、家族であれ、友人であれ、恋人であれ【与えたい】と思えるモノたちに囲まれる生活のほうが、※人生のコストパフォーマンス※は良いのかもしれない。愛するものがたくさんある、というのは幸せなことだ。

苦手と言いながら、何回コスパ言うてんねーん。ナカジマノゾミでした。

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2019年02月24日 | Posted in ブログ, 生きるシアワセ | | 6 Comments » 

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コメント6件

  • ベイコク より:

    ほんとその通りですよね。コスパを追求するなら、ガン保険はガンになって保険金受け取らないとコスパ最悪ですね。防潮堤は津波が来た時最大の利益を得るのでコスパ求めるなら津波が来ないといけない。税金のコスパは消防救急警察たくさん呼べば上がる。
    でもこんなこと起きてほしくないですもんね。やっぱりコスパ信奉は矛盾ですよね(^^)

    • nonnon より:

      ベイコクさん

      ガン保険、津波、税金、おもしろい\(^o^)/
      こいいうのは極論ですけど、「何が得か」を考え抜いたあまり本末転倒なことってよくあるんじゃないかと思います。

      お店側が「お客さんにとってコストパフォーマンスのよい商品を」と、与える前提で考えることは納得できるのですが、求める側が言うのはなんだかな〜です。

  • 月足沙織 より:

    結婚はコスパが悪い

    なんてパンチのある言葉(@_@;)
    何のために生きてるんだろう…

    コスパを重視すると
    奪われてるものにしか意識がいかなくなるんだろうな。
    逆の言い方をすれば、受け取ってるものに気づかなくなる。

    あー、怖い。
    そんな人生、絶対ヤダ(>_<)

    • nonnon より:

      月足沙織さん

      【結婚はコスパが悪い】
      ちょっと衝撃ですよね(笑)
      でも、確かに【若者の恋愛離れ】が騒がれたときも、根底にはこれがあったのかも。

      受け取っていることに気付けない、というのは人生の中でもっとも過酷なことなのかもなあ。

  • たまごサンド より:

    イベントなんかも「経済効果●億円!」とか、
    なんでもお金に換算したがるけど、
    そんな金額を聞いてもピンと来ないし、
    こういう計算する仕事もあるんだなぁ。。
    と思うくらいです(-_-;)

    お金に換算できない楽しさとか、
    コスパが悪いけど好き、
    っていうものがどれだけあるかの方が、
    豊かさの目安になりそうですね。

    • nonnon より:

      たまごサンドさん

      そうなんですよねー。
      全然利益にならないのにやってる、とか、生きる上で全く必要ではないことを全力で楽しんでいる人ってすごくいい顔してる。

      タバコは好きじゃないけど、タバコを愛している人は嫌いじゃない、みたいな。笑

      合理的ではないものたちを、愛せる人でありたいなあ。

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